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信仰の歩みは山登りか?




日本人の中には、聖書の道徳観に賛同しても「イエスキリストのみが救い主だ」というキリ

スト教の主張には不快感を覚える人が少なくありません。「キリスト教はなぜそんなにも排他的なのか?」という批判をよく耳にします。またこうも言われます。「もし、唯一の神が本当に存在し、キリスト教の主張するように愛の神なら、それぞれの文化に合わせて、人々が神のもとに来る道を示されるだろうし、それぞれの宗教を通して救いをもたらすはずではないか。そのほうがずっと人々を信仰に導けるだろう」と。


「分け登る、麓の道は多けれど、同じ高嶺の 月を見るかな」


この歌は一休和尚の作と伝えられ、宗教のことを歌ったものだと一般に言われています。異

なった宗教の道がたくさんあるけれど、結局はそれぞれの道が同じ神的存在(サムシンググレート)に通じるのだ、という意味に解釈されています。別の言い方では「円筒形の茶筒は、横に切れば円、縦に切れば長方形、斜めに切れば楕円形になるが、茶筒は茶筒であり真理は一つ。ただ切り口が違うだけ」と言われることもあります。しかし「切り口はどれも円であるが、茶筒もあれば、スイカも、ラグビーボールもある。一部分は同じだが、真理そのものは全く異なる」とも言えるのです。


先述の歌のように、どの道もたどり着くところは同じであるという思想は、宗教多元主義に

基づいています。宗教多元主義では、各宗教が譲歩し合い、折衷、習合するということになります。この思想は一見、寛容で、争いもなくなりそうで良いように思えるでしょう。しかし、実質、それぞれの宗教は継ぎはぎだらけになり、習合できたとしても真理の統一性を欠くことになります。また、もし習合させたとしても、新たな宗教を生み出すこととなり、結果、その新しくできた宗教しか受け入れられない、という逆の排他性を持つことになるのです。


神の民と言われているイスラエルも創造主なる神と、他の宗教の神(偶像)を習合してし

まった歴史があります。民は、創造主なる神への信仰と豊作をもたらすと信じられていたバアル神の両方を礼拝していました。神殿にバアルの祭壇を築いていたとも言われています。

「『彼らは木にむかっては『あなたは私の父』、石に向かっては『あなたはわたしを生んだ』と言っている(エレミヤ2:27)」とあります。


旧約時代の預言者エレミヤは、背信の罪により神の怒り(バビロン捕囚)が下されると預言

しました。しかしバビロン捕囚という悲劇は偶像を拝んだことによる神からの罰ではありませんでした。悲劇の本質は罪の結果だったのです。祝福の源を忘れ、自己の利益のみを求めた結果、イスラエルの民は悲劇の結末を味わうことになってしまったのです。


創造主はご自身と共に歩むことを私たちに望まれます。主は、山の高嶺に存在し、辛く険し

い山道を、自分の力で登ってくるようにとは言われません。キリスト信仰は山を登るような、何かに到達することを目標としていないのです。ですから、キリスト者は信仰の歩みを山登りに例えることはしないでしょう。信仰者は、ただ、目的に向かって主とともに歩んでいるのです。その目的とは、頂上で見るお月様ではなく「共に歩む」というプロセスそのものです。大事なのは、どの道を歩むかではなく、誰と共に歩むのかです。




人の目の前にある道はそれぞれ違いますが、信じる者と主は共にいてくださいます。その道

は、もしかしたら、凸凹している道かもしれません。山あり谷ありかもしれません。大きな穴が空いているかもしれません。そのように人生は決して楽とは言えないものですが、主に祈りつつ、委ねつつ、主の知恵と守りによって、主と共に歩むのがキリスト者の信仰生活なのです。ですから、異なった宗教の道がたくさんあるけれど、結局はそれぞれの道が同じ神的存在 (サムシンググレート)に通じるのだという考えは、そもそもキリスト教とは矛盾してしまうのです。


先述した一休和尚はこの歌を本当に宗教にたとえて歌ったのでしょうか、私は今回、改めて

そこに疑問を抱きます。一休和尚が伝えたかったことは、宗教の道ではなく、ただ人々のそれぞれの個性をお互いに受け入れるようにと、説いたのではないでしょうか。昔の日本は、今よりもはるかに人と違うことが受け入れられなかったのではないかと考えられます。そのような社会に人の道を説いたのではないかと思えてなりません。


創造主の神は、全知全能、完全なお方です。全能で完全であるということは唯一であるとい

うことと同じなのです。その創造主が共にいてくださる人生が一番幸いな生き方ではなないでしょうか。


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ぶどうの木国際教会

ハワイホームチャペル

加藤 あや子

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