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壁は扉に




壁には、国境の間に作られる壁、部屋と部屋の間の壁などいろんな壁があります。トランプ大統領は、アメリカとメキシコの国境に壁とフェンスを作って、メキシコからアメリカ合衆国への密輸や密入国を防ぐと言っています。その高さは9メートルもあります。そのような高い壁を素手と素足で乗り越えるのことや壁を通り抜けるのことは不可能です。


 しかし、全能の神にとってみたら、どんなに強固な壁であっても、問題ではありません。神は、人間が壁だと思っていたのを扉にして下さることがあります。


 新約聖書『使徒の働き』12章に、使徒ペテロが迫害されて牢獄に閉じ込められ、2本の鎖に繋がれ、16人の兵隊に監視されていたことが書かれています。さらに、番兵の間に寝かされ、戸口には監視の兵隊が詰めていました。ペテロは一日中、牢屋の壁と人間の壁にガッチリと取り囲まれていました。人間的に考えるなら、どうあがいてみても牢屋から逃げ出すことはできない状況です。


 そのとき、牢獄の外にある教会はペテロのために熱心に祈り続けていました。しかし、その熱心は、ペテロが必ず解放されるという確信に満ちた祈りではなかったのです。



 それは、ペテロが解放されて教会へ帰って行った時、それを伝えた女中のことばに対して、教会の中心メンバーが、「あなたは気が狂っているのだ」とか「それは御使いだ」と答えたことばでもわかります。


 教会は、途方に暮れ、葛藤の中にいて混乱していました。その心情をそのまま神様に「熱心」に祈ったのです。しかし、神はそのような祈りにも応えてペテロを解放して下さいました。神は人間の思いや願いをはるかに超えて、ものすごいことをして下さるお方です。


 目に見えるかたちでは、ペテロはヘロデ王に支配されており、具体的にはヘロデ王の作った壁の中にいました。しかし、本当の支配者なるお方が、壁の中において具体的に働かれました。全能の神様が壁の中にまで介入され、働かれたのです。


 牢獄の壁の外では、教会の人たちは確信がなく、葛藤を覚えながらも、とにかく神様に熱心に祈っていました。牢獄の壁の中では、ペテロは同じ神様に祈りながら眠っていました。目に見える光景は、壁によって内側の者と外側の者たちを隔てています。


 しかし、この世の権力を象徴する牢獄の壁は、もはやペテロと教会を引き離してはいませんでした。ペテロと教会は同じ主なる神のもとにあって一つに結び合わされていたのです。そこにはヘロデ王の支配は及びません。壁は壁ではなく、神の力によって解放の扉となったのです。実際、神が送られた天使に導かれて、ペテロは壁を抜けて外に出ることができました。


 私たちは、目の前に「壁」が見えると、もうダメだと思ってしまいやすいものです。四方を壁に囲まれてしまうようなときは、失望して落ち込んでしまいます。しかし、そんなとき上を見上げてみましょう。天は閉ざされていません。開けているのを見ます。そこから神は御手を伸ばして壁を扉に変えて下さるのです。



上野五男

ぶどうの木国際教会主任牧師




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